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第一夜弐ノ月「遭遇」

「あー、遅くなっちゃったな…」

月夜の中、自らの巣へと急ぐ、ウィザードの姿があった。
彼女は6週間前にギルドに加入したにも拘らず、
その一週間後にアジトダンジョンにて大怪我をおってしまい、
つい先日プロンテラ大病院から退院してきたばかりだった。

「久しぶりだし、臨港でリハビリをしてきますね」

それが彼女が攻城戦参加を断った理由。
ギルドの規約で攻城戦に参加していなのでアジトダンジョンは使えないが、
病み上がりの体で無理して高レベルダンジョンに往って、再びケガをしたのでは元も子もない。
そう考えた上での決断だった。

しかし実際の所、大分体が鈍っていたらしく、グラストヘイム監獄で二回も横になるという体たらく。

「…もうちょっと狩場のレベル落せばよかったかな…また、明日から時計かな…」

と考えていると、見えてくる懐かしき我が巣。
今日は攻城戦だったから皆はもう寝てるはず。
音を立てないよう、そーっと裏口のドアを開けて中に入る。


何故か。
彼女は言い様のない恐怖を感じた。

本能的な、死への恐怖。
圧倒的戦力差を持つモノに対峙したときの恐怖。

まだ入り口のドアを開けて中に入っただけだというのに、
ここにいるだけで全身に鳥肌がたち、冷や汗が流れ、体は硬直し、息は絶え絶えになっていった。

…逃げ…なきゃ…!

が、その考えもむなしく、彼女の体は何かによって体を押さえつけられた。


「…静かに…これからこの手を離しますが、決して大声を出したり叫んだりしてはいけませんよ?」

声にもならない恐怖と不安が、彼女を襲う。
聞こえてきた男の声の言葉使いは丁寧で、自分に対して敵意があるようには聞こえない。
しかし、先ほどから感じていた恐怖が、今では数倍にもなって自分を襲っているのがわかる。

今夜、ここで行われていた何かが、大体は予想がつく。
そして、この人物こそ、その何かの立役者であることも、容易に想像がついた。

「…わかりましたか?」
「…!」

必死になって、頭を上下に振る。
恐怖で、今にも泣き出しそうだった。

「…よろしい」

そういうと、今まで口を押さえていた手が離される。
なみだ目になりつつ、今まで自分を拘束していた人物の方向に目をやる。


そこには、何故かウサ耳を着けた男性がいた。
普通、男にウサ耳は似合わないはずだが、実際はそんなことはなかった。
彼の髪の色が黒いせいもあってウサ耳の白さが際立ち、不思議なことながら実に良く似合っていた。

そんな彼の容姿に驚きが隠せず、彼女は少しの間、彼の姿に見入ってしまっていた。

「夜中の女性の一人歩きは危ないですよ。何時何処で何が狙っているかわかりませんからね?」
「!」

一瞬にして現実の感覚に戻される。

「と、私はこれで失礼させていただきますよ」
「あ…!」

彼女が引きとめようとするも、アサシンは振り向きもせずに言った。

「ああ、自警団に通報するならするといい。私は逃げも隠れもしませんから…」

彼女には、彼が笑っているように思えた。

「では、これで」

そうして、彼は闇夜に消え去って往った。
この建物に姿を現したときと同様に消えていった。
自らの痕跡を、何も残さずに。
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  1. 2009/06/13(土) 06:58:13|
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